飲食店の開業に必要な自己資金はいくら?
飲食店をテナントで開業する場合、初期費用の総額は1,000万〜2,000万円が相場です。小規模なカフェや居酒屋なら1,000万〜1,300万円、席数20席以上の店舗なら1,500万〜2,000万円ほどかかります。このうち自己資金として300万〜500万円を用意しておくと、融資の審査が通りやすくなります。
日本政策金融公庫の2024年度新規開業実態調査によると、開業時の自己資金の平均額は293万円で、資金調達全体の約24.5%を占めています。飲食店は設備投資が大きいため、平均よりも多めの自己資金を準備しておくのが現実的です。
| 項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 内装工事 | 300万〜800万円 |
| 厨房設備・機器(調理台・冷蔵庫・製氷機等) | 200万〜500万円 |
| 保証金・敷金 | 100万〜300万円 |
| 運転資金(3ヶ月分の食材原価・人件費・家賃等) | 200万〜400万円 |
| 合計 | 1,000万〜2,000万円 |
2024年4月から日本政策金融公庫の「新創業融資制度」が廃止され、「新規開業・スタートアップ支援資金」に一本化されました。制度上の自己資金要件は撤廃されましたが、実際の審査では自己資金の額が引き続き重視されています。自己資金ゼロで満額の融資が下りることは、まずありません。
飲食業で働きながら貯めるための3つの方法
飲食業で働く方の平均年収は約280万〜350万円といわれています。ここから毎月コツコツ貯めるには、少し工夫が必要です。
1. 先取り貯蓄で毎月一定額を確保する
給料が入ったらまず貯蓄用の口座に一定額を移す「先取り貯蓄」が基本です。月5万円を先取りすれば、3年半で約210万円になります。月3万円でも5年で180万円が貯まります。目標の300万〜500万円に届かせるには、先取り貯蓄に加えて後述する副業収入を組み合わせるのが現実的です。
ポイントは、貯蓄用の口座と生活費の口座を分けること。同じ口座のままだと、つい手をつけてしまいます。
2. 間借り営業やゴーストキッチンで収入を上げる
独立前に自分の料理で稼ぐ経験を積む方法として、間借り営業やゴーストキッチン、ケータリングがあります。飲食店の定休日や営業時間外にキッチンを借りて自分のメニューを提供する間借り営業は、初期費用を抑えながら開業の予行演習ができる手段です。
間借り営業の場合、場所代は1日数千円〜数万円で、売上は自分のものになります。たとえば週末2日間の間借りで1日の売上が5万円、場所代が1万円、食材原価が1.5万円なら、週末だけで約5万円の利益です。月に換算すると20万円ほどのプラスになります。
また、デリバリー専門のゴーストキッチンやケータリングなら、客席を持たずに始められます。本業の勤務と両立しやすく、自分の料理がどれだけ売れるかを事前に検証できるメリットもあります。
ただし、間借りやゴーストキッチンでも食品衛生法上の営業許可が必要です。収入が増えれば確定申告も必要になりますが、開業前から確定申告に慣れておけるという意味では、むしろいい練習になります。
3. 固定費を見直す
貯蓄を増やすうえで、収入を上げることと同じくらい大事なのが支出の見直しです。
- スマホの通信費 — 格安SIMへの乗り換えで月3,000〜5,000円の節約
- 保険の見直し — 不要な特約を外して月2,000〜3,000円の削減
- サブスクリプション — 使っていないサービスを解約
月1万円の固定費削減でも、年間12万円の貯蓄に回せます。
融資審査で評価される「お金の貯め方」
自己資金は金額だけでなく、「どうやって貯めたか」も審査で見られます。融資担当者が通帳を確認するとき、毎月コツコツ積み上がっている残高推移は大きなプラス材料です。
逆に、審査直前にまとまった金額が振り込まれている「見せ金」は見抜かれます。親族からの一括贈与も、自分で貯めた資金とは区別されます。
融資で評価されるポイントは次の通りです。
- 毎月の定額積立が通帳で確認できる
- 1〜2年以上にわたって継続的に貯蓄している
- 生活費と貯蓄が明確に分かれている
- 借入やリボ払いの残高が少ない
開業を決めたら、できるだけ早い段階から貯蓄用の口座を作り、記録を残しておくことをおすすめします。
貯蓄と並行してやっておきたい準備
お金を貯めている期間は、開業後の成功率を高めるための準備も進めましょう。
- 事業計画書の作成 — 席数・客単価・回転率から売上を試算し、食材原価率(目安30%前後)と人件費率を加味して損益分岐点を出す
- 常連客・SNSフォロワーの把握 — 独立後に来てくれるお客様の見込み人数を把握し、オープン時の集客基盤にする
- SNSでの発信 — 開業前からフォロワーを育てておくと、オープン初月の集客につながる
- 物件リサーチ — 出店エリアの家賃相場や競合店の状況、人通りの多い時間帯を調べておく
- 食品衛生責任者の取得 — 飲食店の開業には食品衛生責任者の資格が必須。各都道府県の講習会(1日)を受講すれば取得できるので、早めに済ませておく
当事務所のサポート
「いくら貯めれば融資が通るのか」「事業計画書はどう書けばいいのか」といったご相談を、飲食店の開業に詳しい税理士が個別にお答えします。融資に向けた資金計画の立て方から、事業計画書の作成サポート、金融機関との面談準備まで、開業前の段階からお手伝いしています。まずはお気軽にお問い合わせください。
