飲食店の売上管理が大事な理由
飲食店は、お客さまが食事を終えたその場で代金を受け取る「現金商い」が基本です。これは資金繰りの面では大きなメリットですが、現金のまま手元に置いておくと、売上と手持ちのお金がだんだんズレてきます。
たとえばレジから直接つり銭を補充したり、食材の急な買い出し代を支払ったり、ちょっとした出費をレジのお金で済ませたりしていると、1日の終わりに「今日の売上はいくらだったのか」がわからなくなります。飲食店はさらに、現金・クレジットカード・QRコード決済・電子マネー・UberEats等のデリバリー売上と、決済手段が多いのもやっかいなところです。レジ上の数字と実際の現金が合わない状態は、税務調査でも真っ先にチェックされるポイントです。
毎日の売上記録でやるべきこと
日々の売上を正確に把握するために、次の4つを習慣にしましょう。
- レジ締めを毎日行う — 営業終了後にレジの売上合計を出し、現金残高と照合する
- 決済手段ごとに売上を分けて記録する — 現金・クレジットカード・QRコード決済・電子マネー・デリバリーサービスは入金タイミングがそれぞれ異なるため、混ぜると混乱のもと
- 日計表をつける — その日の売上・客数・客単価を1枚にまとめておくと、日ごとの傾向がつかめる
- 伝票枚数・オーダー数と突き合わせる — 来客数と売上件数が合っているか確認する
レジ締めの際、つり銭用の準備金(例:5万円)を差し引いた残りが、その日の現金売上と一致していれば問題ありません。もし差額が出たら、原因を当日中に調べておきましょう。翌日以降に持ち越すと、まず特定できません。
日計表のデータはマネーフォワードに取り込む
日計表をつけたら、そのデータをマネーフォワード クラウド確定申告に入力しましょう。現金売上の仕訳を毎日手書きで帳簿に転記する必要はありません。日計表の合計額をマネーフォワードに入力すれば、仕訳が自動で作成されます。
カード決済やQRコード決済の売上は、さらに楽です。これらは決済会社を経由して銀行口座に入金されるので、マネーフォワードに銀行口座を連携しておけば、入金データが自動で取り込まれます。決済手数料が差し引かれた入金額と、売上の総額との差額も、自動で仕訳候補が作られるので、確認してボタンを押すだけです。
つまり、手作業で帳簿に転記する必要があるのは現金売上だけ。カード・QR決済・デリバリーサービスの入金は、銀行口座連携でほぼ自動化できます。
デリバリー売上の管理
UberEatsや出前館などデリバリーサービス経由の売上は、手数料が差し引かれた金額が数日〜数週間後に入金されます。手数料控除前の売上総額と、手数料、実際の入金額を分けて記録しておくことが大事です。これをサボると、売上の過少計上を指摘される原因になります。
デリバリーサービスからの入金も銀行口座を経由するので、マネーフォワードの口座連携で自動取り込みができます。入金データを見て、売上総額と手数料の仕訳を確定させるだけです。
売上金は翌朝までに銀行へ預ける
現金管理で一番大事なルールは、1日の現金売上をそのまま銀行に預けることです。「売上から食材の仕入れ代を引いた残り」ではなく、売上の全額を入金します。
こうすることで、通帳の入金記録がそのまま売上の証拠になります。帳簿の数字と通帳の数字が一致していれば、税務調査でも「きちんと管理しています」と自信を持って対応できます。
入金の頻度は毎日が理想ですが、難しければ2〜3日に1回でもかまいません。ただし、1週間以上ためるのは避けましょう。
| 入金パターン | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 毎日入金 | 通帳と帳簿が常に一致しやすい | 銀行に行く手間がかかる |
| 2〜3日に1回 | 手間と正確さのバランスがよい | 数日分の現金を店に置くリスク |
| 週1回まとめて | 銀行に行く回数が少ない | 現金が合わなくなりやすい・盗難リスクも上がる |
通帳は「売上入金専用」と「経費支払い用」を分けておくと、お金の流れが見えやすくなります。4つの口座(売上入金用・経費支払い用・納税資金用・将来投資用)を使い分けるのもよい方法です。マネーフォワードにすべての口座を連携しておけば、口座間のお金の流れも一画面で確認できます。
経費の支払いはレジから出さない
「レジにお金があるから」と食材の仕入れ代や消耗品代をレジから払ってしまうと、売上金額と現金残高がズレます。小口の経費(割り箸、紙ナプキン、洗剤、使い捨て容器など)は、オーナーやスタッフがいったん立て替え、月に1〜2回まとめて振込で精算するのがおすすめです。
こうすれば、レジの中は純粋に売上金だけになり、管理がシンプルになります。
経費の支払い方法を整理すると、次のようになります。
| 支払い方法 | 売上管理への影響 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| レジから直接支払い | 売上と経費が混ざり管理が難しい | 避けたい |
| 小口現金を別に用意 | 管理の手間が増える | やや面倒 |
| 立替→月1〜2回精算 | レジは売上だけ。シンプル | おすすめ |
| クレジットカード払い | 明細が残り、マネーフォワードへの取り込みも自動 | おすすめ |
飲食店は食材の仕入れが毎日発生するため、仕入れ業者への支払いは掛け払い(月末締め・翌月払い)にしておくと、レジの現金に手をつけずに済みます。現金で市場に買い出しに行く場合も、売上・経費用口座からあらかじめ引き出した資金を使い、レジのお金とは分けるのが鉄則です。
まかない・試食の扱いに注意
飲食店特有の注意点として、まかない(従業員への食事提供)と自家消費(オーナー自身の食事)の取り扱いがあります。
- まかない — 材料費相当額は福利厚生費として経費にできる。ただし、食事代の半額以上を従業員が負担し、事業主の負担が月3,500円以下であることが条件
- 自家消費 — オーナー自身がお店のメニューを食べた場合、仕入原価または通常販売価格の70%のいずれか高い方を売上に計上する必要がある
このあたりは記録が抜けがちですが、税務調査で指摘されやすいポイントです。日計表に「まかない○食」「自家消費○食」と記録する欄を作っておくと、漏れを防げます。
帳簿と証票の保存期間
売上台帳や現金出納帳、レシート、通帳などは、青色申告の場合7年間の保存が義務付けられています(前々年の所得が300万円以下の場合、一部書類は5年間)。月ごとに封筒やファイルに分けて整理しておくと、後から探す手間が省けます。
レジのジャーナル(取引記録)も、日ごと・月ごとに保存しておきましょう。クレジットカード決済やQRコード決済の売上伝票、デリバリーサービスの売上明細も同様です。
当事務所のサポート
「毎日の売上管理が面倒で後回しにしてしまう」「決済手段が多すぎて何がどうなっているかわからない」「税務調査が来たらちゃんと対応できるか不安」——そんなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
当事務所では、飲食店の現金管理の仕組みづくりから、マネーフォワードの導入支援、日々の記帳サポートまで対応しています。通帳の使い分けやレジ締めの手順、デリバリー売上の管理方法など、お店の規模や営業スタイルに合わせたアドバイスをお伝えします。初回のご相談は30分5,000円〜です。
